平成23年2月17日(金)、日本非破壊検査協会東北支部は仙台市戦災復興記念会館において、年間行事である「産学官連携研究会」を開催しました。合計25名の参加者と共に定刻に開始され、第1部として特別講演2件、その後第2部に「我が社の自慢話」と題しての2件の発表が行われました。
特別講演の要旨
特別講演1 「イメージベース超音波・電磁波伝搬シミュレーションと非破壊検査への応用」 講師:中畑 和之 氏(愛媛大学大学院理工学部研究科生産研究工学専攻・准教授)
計算機の普及によって、「ものづくり」や「メンテナンス」の様々な分野でますます活用・援用されているシミュレーション。非破壊検査も例外ではなく、検査ニーズの多様化・複雑化が進む中、検査制度・効率をさらに向上させるには、シミュレーションの積極的な利用が今後ますます必要になっています。
しかし、シミュレーションに馴染みのない技術者は、シミュレーションの敷居が高く、自分でやろうとは思わなかったり、シミュレーションなんて単なる想像の範疇であって実験と合わないから信用できないという人、一方シミュレーションを実務で使っている技術者は、モデルの作成を面倒と感じていたり、ソフト操作が難しくて思うように解析できない、という人もいるようです。
そこで中畑先生は、現場の方々にもシミュレーションの重要性を理解して頂き、また積極的に採用して頂きたいと「イメージベース波動伝搬シミュレーション」という数値解析技術の開発に取り組んでおられます。イメージベース処理とは、対象を「見た目どおりモデル化」し、簡便にかつ高速にシミュレーションを行うことです。ご講演では、非破壊検査の様々なニーズに対応できるロバストな技術の紹介と、それを非破壊検査にどのように活用できるか、といった具体例を交えて、分かりやすく説明して下さいました。
講演2 「モアレ法による最新の微少変位分布測定技術大型構造物への応用」 講師:李 志遠 氏(東北大学大学院工学研究科ナノメカニクス専攻・助教)
サンプリングモアレ法とは、構造物の表面に規則正しい格子模様を貼付けることで、簡便かつ高精度で微少変位分布を瞬時に測定していく手法です。さらに社会基盤を支えているインフラ構造物の変位挙動の解明として、同全視野変位計測手法を十数メートル規模の大型構造物へ適用した応用例を交えての説明で、応力集中の様子をまるでサーモグラフィーで見ているような視覚的、直観的な評価結果に、今後の実用化に向けて大きな期待が持てる講演でした。
発表1 「(株)カガヤとは!」 (株)カガヤ 工藤 哲也 氏
1「鉄骨シエア、営業圏を常に全国で考え」
2「生産性向上のため常に若手の人材確保・育成と設備増強を図り」
3「全員で勝つを合い言葉に、新たな分野とコストダウンに挑戦している」
発表2 「基礎から応用まで承ります。」 JFEテクノリサーチ(株) 高田 一 氏
・JFEテクノリサーチ(株)はJFEの100%の系列会社である。JFEの製造ラインで使用されている。
・非破壊検査機器等はJFEテクノリサーチ(株)で設計製作された機器を数多く使用している。
・イメージベースFIT(愛媛大学殿開発)
◇超音波、電磁波(ドライ超音波探傷検査)
◇実体のモデル上で動作するシミュレーションソフト
◇並列処理により大規模計算可能
◇スナップショット、アニメーションを用いたわかりやすい結果表示
各発表の後、質疑応答が行われ、盛況の下に終えることができました。お忙しい中ご参加いただきました皆様に、この場をお借りしてお礼申し上げます。
(文責:東日本検査梶@佐々木 博)