平成23年4月22日(金)、日本非破壊検査協会東北支部はアーク仙台貸会議室(仙台市青葉区)にて平成23年度総会・講演会を開催いたしました。
東北地方は未だ3月11日に発生した東日本大震災の爪あとも深く、当初開催が危ぶまれた状況ではありましたが、復興に向け、本総会・講演会を開催することといたしました。この様な状況の中、多数の皆様にご出席いただき本会が無事開催できましたこと、ご参加いただきました皆様方に心より感謝申し上げます。
木村武美支部長の挨拶で始まった総会は、平成22年度事業報告および決算報告に続き、平成23年度事業計画(案)および予算(案)について審議され、満場一致で可決されました。
同時に、東北支部島田賞が虻川 堅悦氏(東光鉄工株式会社)に授与されました。本賞は東北地方において、非破壊検査に関する学問または技術に特に顕著な功績があった会員を表彰するため、日本非破壊検査協会・元会長・島田 平八氏(東北大学名誉教授)の出資により創設されたものです。
また、今後の非破壊検査技術の普及と振興に貢献することが大いに期待される若手会員に送られる東北支部奨励賞が、星川 洋平氏(千代田興業株式会社)に授与されました。
総会に引き続き行われた講演会では2件の特別講演と企業2社からの発表が行われました。
1件目は牧野一成氏(公益財団法人鉄道総合技術研究所・副主任研究員)に「鉄道車軸と台車枠の非破壊検査の概要と最近の技術動向」と題してご講演いただきました。最新型の新幹線「はやぶさ」の話題も交え、鉄道車軸と台車枠の非破壊検査の事例についてご紹介いただくと共に、最近の探傷技術の動向についてもご講演いただきました。普段は聞くことのできない鉄道産業における海外での非破壊検査の事例は大変興味深いものでありました。
2件目は武尾 文雄氏(八戸工業高等専門学校・教授)に「直流電位差法による材質および欠陥の非破壊評価」と題してご講演いただきました。直流電位差法の原理について解説いただきますと共に、当該手法により表面き裂深さ、電気抵抗率、焼入れ深さといった実に幅広い対象物が測定できることをご講演いただき、参加者の興味を大いに引き付けておりました。
特別講演に引き続き、NEC Avio赤外線テクノロジー株式会社の福井 仁志氏より最新のサーモグラフィ装置について、また、オリンパス株式会社の川上 賢浩氏からは実機を前にして最新のフェイズドアレイ超音波探傷器についてご発表いただきました。
最後に、この度の大震災で被災されました皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。会員各位の皆様方におかれましても大変な困難とご不便な状況でお過ごしのことと存じます。
日本非破壊検査協会東北支部では、本部および他支部と連携し、講習会や講演会を精力的に開催することで会員の皆様方と共に復興に向け歩んでいきたいと考えております。皆様方のご指導、ご協力と積極的なご参加を心待ちにいたしております。
また、日本非破壊検査協会および各支部の皆様方からは、多くのお気遣いとご支援を賜りました。この場をお借りし改めまして感謝御礼申し上げます。
本当に大変な状況ではございますが、本年度も何卒宜しくお願い申し上げます。皆様方が一日も早く平穏な生活に戻れますよう、心よりお祈り申し上げます。
(文責:東北大学 燈明 泰成)