東北支部の支部会・講演会は平成25年4月26日(金)仙台市青葉区の青年文化センターで開催されました。昨春の一般社団法人への移行に伴い,これまでの支部総会から衣替えした,記念すべき第一回目の開催でした。
今年の仙台は,桜が満開の時に雪が積もるなど,春になっても寒い日が続いていました。この日も小雨が降って肌寒い日でしたが,それにもかかわらず,支部会・講演会には45名の方々に参加していただきました。
支部会では,最初に木村 武美 支部長(溶接検査(株)社長)から開会の挨拶があり,その後,表彰,平成24年度事業報告・決算報告,平成25年度事業計画・予算,そして,平成25年度役員紹介が行われました。
今年の支部表彰は,伊藤 剛 氏(仙台検査(株))が奨励賞を受賞しました。本賞は,非破壊検査技術の普及と振興に貢献することが大いに期待される会員に授与される賞です。推薦者は東北支部幹事である,東北職業能力開発大学校の渡辺 稔 先生で、表彰状は木村 支部長から手渡されました。
事業報告・事業計画では,燈明 副支部長から,東北支部の新しい試みであるUT競技会(7月開催予定)のアナウンスがあった他,東北支部の歴史の紹介がありました。東北支部の前身は,平成4年に設立された「東北非破壊検査研究会」で,故伊達和博 教授(東北大)が講習会と研究発表会を中心に活動を始めたのがはじまりでした。その後,平成17年に東北支部となり現在に至っています。今回,配布された会議資料に,研究会の設立当初から運営に携わっていた高橋 忠雄 氏から,東北支部の歴史についての投稿を頂き掲載しました。
平成25年度の東北支部役員は,
支部長 木村 武美(溶接検査(株))
副支部長 燈明 泰成(東北大学大学院工学研究科)
幹事 虻川 堅悦(東光鉄工(株))他9名
の陣容で運営されることになり,支部会で紹介されました。
講演会では,2件の特別講演を頂きました。
1件目の特別講演は,弘前大学大学院の笹川 和彦 教授による「微細電子配線の安全性評価と生体の応力評価」です。笹川先生の研究は,LSIなど電子デバイスの電気配線が,電流の流れで細くなり断線するエレクトロマイグレーション損傷の寿命予測の研究と,人工関節や義足,骨折した人に用いる装具などの機能評価を,これに使う生体計測用圧力センサも自前で開発しながらの研究などです。講演では,コンピュータシミュレーションや微小センサを使って,電子デバイスや医療分野の評価・測定を行う最先端の研究を紹介して下さいました。
特別講演の2件目は,高知工業高等専門学校の寺田 幸博 教授による「GPS津波計・波浪計・潮位計の開発について −産学官イノベーション創出の視点−」です。寺田先生は,海上に浮揚するブイで,GPSの高精度な位置情報を利用した,津波・波浪・潮位を観測するシステムを開発なされました。東日本大震災の際は,東日本の太平洋岸に設置されたGPS波浪計が,津波データをリアルタイムで気象庁に伝えるなど,津波や台風などの防災にこのシステムを活用する研究を行っています。今回の講演では,開発の苦労話から東日本大震災で大津波警報の根拠になった実測データまで,ご紹介頂きながらの講演でした。
その後の製品紹介は2件。東光鉄工(株)の虻川 堅悦 氏には軽量高強度で柱・梁がなくても3mの積雪に耐えられるという「TOKOドーム」を,南極昭和基地での写真などを交えながらの紹介,富士フィルムビジネスサプライ(株)の土肥 幸児 氏には「デジタルX線画像システムFCR DynamIx HR2」をご紹介頂きました。手差しIPシステム、走査権限管理機能対応システムなどの新機能による利便性の向上や、航空機部品からセラミックス複合材製造、パイプライン保全他と広範な分野に及ぶ適用マーケットについてなどの説明がありました。
講演会の後は,仙台市内の懇親会場に移動して酒を酌み交わしながら親睦を深めました。
(文責:宮城県産業技術総合センター 中居 倫夫)