今回の見学会場になったのは、山形県山形市にある東北芸術工科大学です。この大学は、山形市街を見下ろす高台に位置した芸術・デザイン系の大学です。
見学会では、この大学の「文化財保存修復研究センター」を見学しました。参加者は25 名で、昼過ぎに仙台駅のバスロータリーを出発し、紅葉で色づく奥羽山脈を越えて山形市内の見学会場に向かいました。
見学会では、この大学の「文化財保存修復研究センター」を見学しました。参加者は25 名で、昼過ぎに仙台駅のバスロータリーを出発し、紅葉で色づく奥羽山脈を越えて山形市内の見学会場に向かいました。
東北芸術工科大学は、東北の地にしっかりと軸足を置き、芸術とデザインの力で現代社会の抱える様々な課題を解決できる人材育成を理念にした、芸術学部とデザイン工学部を有した大学です。大学本館の前には、池に浮かんだ能舞台があり、東北の伝統と文化に根ざした芸術大学の風情を感じさせるデザインの建屋でした。見学会では、本学の「文化財保存修復研究センター」を見学しました。
文化財保存修復研究センターは,本学のユニークな研究センターであり、絵画(西洋・東洋)、仏像、彫刻、古文書などの修復を研究するセンターです。研究と同時に、全国の美術館や文化財を保有する社寺、博物館から実際の修復依頼を受け、修復を行っているそうです。学校では学生さんに、実際の修復作業を体験させることで、学芸員や保存修復の技術者になるための知識と経験を与える教育を行っているということでした。見学会でも、東日本大震災で海水に浸かって傷んだ古文書の修復や色あせて傷んだ仏像、社寺の天井画などの修復作業を行っているのを間近に見ることができました。
この文化財修復の際に、仏像の内部構造や絵画の重ね描きや下地の状況をX 線で観察したり、絵具の顔料と布や紙の材質を蛍光X 線装置で分析したりと様々な非破壊検査技術が活用されている現場を見学させていただきました。

本報告の最後に、見学会を受け入れていただいた東北芸術工科大学の皆様、長時間にわたりご説明くださった米村先生、修復作業や学生実習の最中でありながら、見学者の質問に丁寧にご対応いただいた杉山先生、中右先生に感謝の意をお伝えして締めくくりとさせていただきます。
(文責:宮城県産業技術総合センター 中居 倫夫)