2009年10月30日

産学官連携研究会 開催報告(2009年 10月 2日)

 (社)日本非破壊検査協会 東北支部の「産学官連携研究会」が平成21年10月2日(金)に行われました。今回の研究会では、トヨタ自動車の生産を担う関東自動車工業(株)の工場見学と本協会東北支部の副支部長である東北大学の燈明先生の学術講演会を実施しました。参加者は、21名でした。

 今回見学した関東自動車工業(株)は、トヨタグループの一翼を担う会社で、自動車の開発から生産までを行い、トヨタの国内車両生産の12%越を行うという上場企業です。仙台駅前のバスプールに集合した支部会員は、マイクロバスに乗り東北支部が準備した仙台のご当地駅弁に舌鼓を打ちながら、秋の東北自動車道を北へと移動しました。工場見学した岩手工場は、東北自動車道の金ヶ崎インターを降りて直ぐ、岩手県胆沢郡金ヶ崎町の田園地帯、自然豊かな小高い丘陵の上にあります。敷地面積は、約96万平方メートル。東京ドーム20個分の面積に製造ライン2ラインと関連部品メーカーが入っているということでした。関東自動車工業(株)岩手工場の出迎えを受け、会社概要の説明を受けた後に、工場見学をしました。


 岩手工場は、製造ライン2ラインで合わせて1日あたり約940台の生産能力があり、102秒に1台の自動車が作られているということです。工場見学は、ボディーのプレス・溶接、塗装、エンジン・内装・外装の組み付け、完成車の検査まで、一連の工程を全て見せてもらいました。無人搬送車で行われる工場内物流や、ボルト締め付けがトルク管理も含めて一本一本コンピュータで管理されているなど、生産の約7割が輸出用という世界を相手にしたグローバル企業の生産現場とトヨタ流の“改善”の取り組みを目の当たりにすることが出来、大変勉強になりました。会社としての環境への取り組みも特筆すべきものがあり、工場に納入される部品の輸送をCO2排出量が少ないJR貨物のコンテナを利用したり、雪の多い東北地方の特性を利用して貯蔵した雪を使っての夏の冷房をしたり、山羊等の家畜を使った構内除草をするなどの取り組みを行っていました。

 今回の工場見学でお世話になった関東自動車工業(株)岩手工場の皆様に、本紙面を借りて、お礼申し上げます。

 工場見学の後、会議室を借りて講演会を行いました。東北大学の燈明先生が、「薄い対象物の超音波検査と微細材料のジュール熱溶接」の題目で、ナノメートル隙間の超音波検査とマイクロメートルオーダーのマイクロ部品の溶接に関する研究の最新成果を紹介して下さいました。講演会には、関東自動車の技術者も参加して、熱心な質疑応答が行われました。

(文責:宮城県産業技術総合センター 中居倫夫)

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