東北支部(支部長 燈明泰成・東北大学)は平成28年4月22日(金)に、仙台市青葉区のエル・パーク仙台にて産学官より45 名の参加者と共に「第4 回 支部会・講演会」を開催しました。
一般講演は中居倫夫幹事が座長となり行われました。はじめに池ヶ谷靖氏((株)ジャスト)より「既存鉄骨溶接部の調査へのフェーズドアレイUT の適用」と題した発表が行われ、フェーズドアレイの溶接欠陥の高さ測定の実構造への適用例等を交え説明がなされました。その後、寺島 脩氏(東北大学)より「音波の反射係数の周波数依存性を利用した水温測定の検討」、片桐拓也氏(東北大学)より「マイクロ波を用いた配管内軸方向割れ探傷のためのTE モード発振入射部構造の検討」、中島和洋氏(東北大学)より「渦電流試験法を用いたロケッ
トエンジン燃焼室銅合金における亀裂サイジングのための信号処理法の検討」、水科拓己氏(弘前大学)より「折れ曲がり形状を有する微細電子配線の損傷しきい電流密度の評価」、小原良和氏(東北大学)より「表面波フェーズドアレイを用いた表面欠陥の広範囲映像化」と、合計6 件の研究発表がなされ、いずれも興味深い内容で活発な討論が行われました。
支部会は三原 毅幹事の司会で行われました。はじめに燈明支部長から、「熊本県の地震での犠牲者に哀悼の意を示し、被災された方の安全・安心をお祈り申し上げます。我々も東日本大震災の時は幹事の方が被災するなど支部存続が危ぶまれましたが、昨年はお蔭様で30 周年を迎える事が出来、さらに今年はたくさんの方に参加して頂き、震災以前よりも活発になってきました。本年度もよろしくお願いしたい」との挨拶がありました。
その後表彰、議題、役員紹介が行われました。表彰では高橋晴義選考委員長((株)仙都計器)から表彰者の推薦説明があり、島田賞に今年の2月にご逝去されました故松田 輝雄氏(正和工業(株))が受賞されました。島田賞は東北地方において、非破壊検査に関する学問・学術または技術に顕著な功績があった会員が表彰されるもので、日本非破壊検査協会・元会長 故島田 平八氏(東北大学名誉教授)によって創設されたものです。
奨励賞には一般講演者から選ばれた中島 和洋氏(東北大学)が表彰されました。また、幹事就任から25 年間、講習会の講師として活躍され昨年度で講師を退任された渡辺 稔先生(東北職業能力開発大学校)に感謝状が送られました。
続いて議題に移り、燈明支部長より平成27 年度事業報告・決算報告,平成28 年度事業計画・予算について説明がされ、会場での異議がなく了解を頂きました。最後に燈明支部長より平成28 年度の役員紹介がなされ、本年度も活発に活動する事を確認しました。
同時に会場内では、宮城県産業技術総合センターにて新規導入された東芝電力検査サービス(株)の3D 超音波検査装置の機器展示が行われており、講演内容ともリンクした装置の実演が参加者の興味を引いていました。
特別講演は燈明支部長が座長となり行われ、東北大学の祖山 均教授より「機械的表面改質による表面力学設計と非破壊評価−泡で金属をたたいて強くする−」のテーマでご講演を頂きました。機械的表面改質による力学的諸特性の向上に期待できるキャビテーション(気泡)によるキャビテーションピーニングの内容説明や、実際の実用例なども紹介があり、スプーンなどの試験片を見ながら、分かりやすく解説して頂きました。多くの業界に応用されており、身近であり大変興味深く聞かせて頂きました。
続く懇親会は大塚亮裕幹事の司会進行で行われました。乾杯の音頭を高野康博氏((資)高野)で始まり、業界の違いを超え意見交換を行い、楽しく和やかに有意義な時間を過ごす事が出来ました。
(文責:東北鉄骨橋梁(株) 高橋 順一)