2021年04月21日

令和3年度 支部会・講演会 開催報告(2021年4月16日)

 COVID-19という新型コロナウイルス感染症が発生してから1年が経ちました。感染の拡大を抑えるために,手洗い,咳エチケット,マスクの着用,そして“3密”と呼ばれる密閉・密集・密接を避けることが社会の常識となり,定着しつつある今日この頃です。
 このような社会情勢の中においても,社会システムの維持管理は,手を緩めることができない大切なものであり,非破壊検査に携わる皆様の貢献は,これまでにも増して,不可欠かつ重要なものになってきていると認識しております。このような状況の中で,日々の検査業務に携わる皆様に,あらためて,敬意を申し上げます。

開会宣言をする三原支部長.png
 さて,JSNDI東北支部では,昨年は中止になった支部会・講演会をオンライン開催しました。会議や学術講演会をオンラインで行うことは,1年前は思いつきもしなかったことですが,コロナ禍のもとで,たった1年で社会に浸透してしまった新手法です。令和3年度の支部会は,東北支部の三原支部長の決断で,このオンラインで開催することになりました。
昨年10月の日本非破壊検査協会の秋季講演大会は,オンラインで開催されましたが,当協会の地方支部の公式な行事をオンラインで行う取り組みは恐らく東北支部が初めて行う試みだったのではないかと思います。そこで,今回の支部だよりは,この支部会オンライン開催について報告させていただきたいと思います。

東北支部の支部会は,以下の3部構成で行われました。
 @研究発表を行う「学術講演会」
 A1時間程の特別講演
 B各種表彰と支部の活動実績・計画を説明する支部会
これらをオンライン上で滞りなく実施することが求められました。

 最初の学術講演に関しては,オンライン学会やオンライン講義でこのシステムに慣れている学生さんや研究職や技術職の皆様が講演者になることから,それほどの心配はなく取り組むことができました。支部側の運営については,秋季講演大会等で既に経験なされた協会本部の資料を活用させて頂くことにして,オンラインシステムの使い方のマニュアルや講演セッションの座長が行うべき事前点呼や講演の進め方の説明事項については,JSNDI本部のご好意により学術講演会用のマニュアルを使わせて頂くことでスムーズな事前準備ができました。

 今回の支部会では,渦電流探傷が2件,磁気探傷1件,超音波探傷3件の合計6件の学術講演が行われました。講演内容はいずれの講演も新規な切り口で非破壊検査の領域を広げるような興味深い内容であり,コロナ禍にもかかわらず,学生さんをはじめ,研究に携わる皆様のアクティビティは高いまま維持されているという印象を受けました。
次世代放射光施設完成予想図.jpg
 特別講演では,宮城県仙台市に建設が決定した次世代放射光施設について,(株)光エンジニアリングサービスの鈴木勝彦 分析評価部長にご講演を頂きました。講演題目は「放射光を活用した非破壊測定の基礎と応用」です。仙台に造られる次世代放射光施設は,材料の性質を明らかにする軟X線領域の放射光を発生するスペックを有し,世界トップクラスの高輝度な放射光を発生することができる施設ということで,元素の化学状態分析,表面分析,微細加工に利点を有する施設です。この施設は非破壊検査にも応用が可能で,材料内部の微細な欠陥がX線検査よりも高精細に観察できる他,CTによる三次元撮影も可能ということで,聴講者の皆様の興味を引いていました。会場からは,どのくらいの欠陥まで見えるのかなど,具体的な質問が出ていましたが,この放射光施設は,企業の利用が可能な施設ということでもあり,2023年に完成予定で,運用開始後の地域企業の活用に非破壊検査応用が期待されそうです。

 講演会に引き続き支部会では,表彰と事業報告が行われました。令和3年度の特別功労賞は,故 谷村康行氏に贈呈されました。谷村氏は令和2年1月に他界なされましたが,この時点で東北支部の特別功労賞のご受賞が内定されており,令和2年4月の支部会で賞の贈呈と受賞者としての特別講演を行って頂くことが決まっていました。コロナ禍のために令和2年度の東北支部支部会も中止になってしまいましたが,谷村氏の貢献に対して今年度の支部会において特別功労賞を贈呈させて頂きました。授与には、ご子息の谷村氏が代理出席してくださいました。
 谷村氏は,東北支部において浸透探傷レベル2の学科・実技試験の講習会を立ち上げる際に,準備段階から様々なご尽力を頂きました。講師として受講生を教育する傍ら,後進の講師の育成,講習方法の改善点の模索なども行い,当支部の発展に尽力してくださいました。谷村氏に立ち上げて頂いた浸透探傷試験は,現在,当支部にとって超音波探傷に次ぐ大事な講習会になっております。また,非破壊検査のおもしろさ,奥深さを惜しげもなく共有してくださる姿は後進の若者達にとってお手本となる存在でありました。本誌面を借りて,改めて感謝と敬意を示し,ご冥福をお祈りするとともに,特別功労賞の報告とさせて頂きます。

奨励賞を受賞された大藪さん.png
 今年度の奨励賞は,学術講演で発表した新進の若手研究者から1名を受賞者として選定しました。奨励賞は,講演題目『微小欠陥検出のための横波励起エバネッセント超解像映像法の提案と基礎検討』の研究発表を行った東北大学大学院工学研究科の大薮陽太氏が受賞されました。

 支部会の事業報告は,事前に電子メールで配信したPDF資料に基づいて三原支部長から報告されました。今回のオンライン支部会では,参加申込を行った会員にパスワードをかけた会議資料を配信し,これに基づいた事業報告を行いました。
 今回のオンライン支部会・講演会で工夫したポイントがいくつかあります。上記の会議資料のパスワード付き事前配付の他にも,参加者登録とアクセスURLの送付は,非破壊検査協会本部が契約しているオンライン会議ツールを使い,これの自動返信機能を使って参加者登録とURL送付を行いました。講演発表者の中から1名の奨励賞受賞者を選定する際は,メインの支部会の会場とは別のオンラインミーティング会場に選考委員が集まって審議ができるように準備しました。表彰式の際には,オンライン上では賞状の受け渡しができないことから,画面上に授与者と受賞者の顔と表彰状の文面を映し出して授賞の臨場感を演出しました。

 このコロナ禍の状態から開放されて,支部会が懇親会付きで通常開催できるようになるまで,あと少しの辛抱なのかと思われますが,このような形で東北支部の支部会・講演会が行われたことを今回の支部便りとして報告させて頂きます。通常開催では,会場や講演の風景を写真として掲載するのが常なのですが,オンライン開催ということで,掲載できる写真が確保できませんでした。このため,文面が中心の報告になりましたことをお詫び申し上げます。最後に,仙台に建設中の次世代放射光施設の完成予定図を示して締めくくりとさせて頂きたいと思います。

(文責:宮城県産業技術総合センター 中居 倫夫)
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2019年04月22日

平成31 年度 支部会・講演会 開催報告(2019年4月19日)

エル・ソーラ仙台(大研修室)より.JPG

 東北支部(支部長:三原 毅・東北大学)は平成31 年4 月19 日(金)に,仙台市青葉区のエル・ソーラ仙台 大研修室にて,仙台駅を見下ろしつつ,産学官より26 名の参加者と共に「第7 回 支部会・講演会」を開催しました。

 講演会の座長を務めます矢島 邦昭幹事からの挨拶に引き続き行われた講演会では,招待講演・一般講演・特別講演の全7 件の発表がありました。

講演する高橋敬一氏.JPG
 1 件目は招待講演として,高橋 敬一氏(仙台エンジニアリング)に「最近の土木工事の非破壊試験について」と題した講演をいただきました。同氏のプロフィールから始まり,実際の現場写真等を用いて非破壊検査によるトンネル内の空洞調査を行う際の内容説明や測定方法など,パワーポイントを使用して分かりやすく解説をしていただきました。

 一般講演は矢島 邦昭幹事が座長となり,5 件の発表をいただきました。この一般講演においては,若手の講演者より優秀な発表を選出し,後述の支部会にて奨励賞を授与しています。
 以下に一般講演題目と登壇者を紹介します。(敬称略)

座長:矢島 邦昭(仙台高等専門学校)
101 Experimental verification of the inverse algorithm forestimating local wall thinning in carbon steel pipes basedon low frequency lectromagnetic monitoring signals
    宋 海成(東北大学)
102 渦電流探傷法によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接部腐食検出性のPOD 分析
    冨澤 拓真(東北大学)
103 大振幅SPACE のための積層探触子の開発の基礎検討
    石橋 万里奈(東北大学)
104 ニオブ酸リチウム単結晶を用いた大振幅高温超音波探触子の設計と開発
    阿部 達(東北大学)
105 高減衰材料のための超広帯域フェーズドアレイの提案と基礎検討
    一色田 健人(東北大学)

 特別講演は三原 毅支部長が座長を行い,平成30 年度の島田賞を授与した坂 眞澄氏(東北大学大学院教授)により「破壊力学と非破壊検査−島田賞受賞に際して−」の題目でご講演をいただきました。動画や写真を用いて実際に破壊を起こした船・飛行機等を紹介し破壊の怖さと非破壊検査の重要性を大変分かりやすく説明していただきました。

 支部会は佐々木 博幹事の司会で行われました。三原 毅支部長より挨拶があり,その後,表彰・議題・役員紹介が行われました。
 表彰は三原 毅支部長より推薦説明があり,今年の表彰者は次の通りでした。
受賞者(石橋、坂氏、川上氏、芳賀氏).JPG
【島田賞】
 受賞者 坂 眞澄氏(東北大学大学院)
 推薦者 燈明 泰成氏(東北大学大学院)
【特別功労賞】
 受賞者 川上 賢浩氏(オリンパス(株))
 推薦者 伊藤 剛氏(仙台検査(株))
【奨励賞】
 受賞者 芳賀 文絵氏(東北歴史博物館)
 推薦者 矢島 邦昭氏(仙台高等専門学校)
【一般講演】
 受賞者 石橋 万里奈氏(東北大学)
 選考委員長 矢島 邦昭氏(仙台高等専門学校)
 表彰状は三原 毅支部長から手渡されました。

記念撮影.JPG
 続いて議題に移り@事業報告・計画,A決算報告・予算について説明がされ,異議のないことを確認し了承をいただき,本年度も活発に活動する事を確認しました。

 最後に支部会・講演会の後は,仙台市内の懇親会会場に移動し,高橋 晴義幹事の司会進行で行われ,懇親会会場でも活発な意見交換が行われ有意義な時間を過ごすことができました。
(文責:仙台検査(株) 伊藤 剛)
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2018年04月20日

平成30年度 支部会・講演会 開催報告(2018年4月20日)

 東北支部(支部長:三原 毅・東北大学)は平成30年4月20日(金)に、仙台市青葉区の戦災復興記念館にて、産学官より27名の参加者と共に「第6回 支部会・講演会」を開催しました。

奨励賞を受賞した藤田氏 一般講演は中居 倫夫・高橋 順一幹事が座長となり行われました。
 一般講演においては7件の発表を頂きました。7名の講演者より優秀な発表を選出し、後述の支部会にて奨励賞を授与しました。
以下に一般講演演目と登壇者を紹介します。(敬称略)
座長:高橋 順一(東北鉄骨橋梁 株式会社)
101 低周波電磁場を用いた二重缶減肉評価技術の開発研究
    小野 陽平(東北大学大学院工学研究科)
102 マイクロ波探傷法による配管検査を考慮した曲がり部におけるモード変換の影響因子の評価
    陳 冠任(東北大学大学院工学研究科)
103 薄膜磁気インピーダンスセンサを用いた強磁場中の非破壊検査
   中居 倫夫(宮城県産業技術総合センター)

座長:中居 倫夫(宮城県産業技術総合センター)
104 金属の含有による毛髪の構造弾性率の変化について
    藤田 賢人(東北大学大学院工学研究科)
105 ソフト系PZTを用いた低周波アレイ用大振幅超音波探触子の検討
    菊池 洸佑(東北大学大学院工学研究科)
106 電圧固定振幅差分法を用いた非線形表面波フェーズドアレイの振幅比依存性
    中島 弘達(東北大学大学院工学研究科)
107 JSNDI主催実技対策講習会(2次試験・再認証)の内容及びその問題点について
    南 康雄(JSNDI教育委員会U専門委員長(横浜NDIアカデミー))

特別講演 木村氏
 特別講演は三原 毅支部長が座長を行い、平成29年度の島田賞を授与した木村 光彦氏(秋田県産業技術センター)により「超硬合金−金属ろう付け過程の応力緩和シミュレーション」の演目でご講演を頂きました。異材接合時の残留応力についての内容説明や測定方法など、パワーポイントを使用して分かりやすく解説して頂きました。

 支部会は佐々木 博幹事の司会で行われました。これまでご尽力いただいた燈明 泰成前支部長(東北大学大学院工学研究科)から4月1日に支部長職を交代した三原 毅(東北大学大学院工学研究科)新支部長より支部長の挨拶がありました。
 その後、表彰、議題、役員紹介が行われました。
受賞者 表彰では三原 毅支部長より推薦説明があり、今年の表彰者は次の通りでした。
【島田賞】
 受賞者 高橋 敬一氏(株式会社 仙台エンジニアリング)
 推薦者 渡辺 稔氏 (東北職業能力開発大学校)
【奨励賞】
 受賞者 遠藤 翔大氏(株式会社 カガヤ)
 推薦者 池ヶ谷 靖氏(株式会社 ジャスト)
 一般講演受賞者 藤田 賢人氏(東北大学大学院工学研究科)
 選考委員長 燈明 泰成氏(JSNDI東北支部 幹事)
 表彰状は三原 毅支部長から手渡されました。

shugo6.jpg 続いて議題に移り@事業報告・計画、A決算報告・予算について説明がされ、異議の無い事を確認し了承を頂きました。平成30年度の役員・講習会WGメンバー紹介がなされ、本年度も活発に活動する事を確認しました。

 最後に支部会・講演会の後は、仙台市内の懇親会会場に移動し、大塚 亮裕幹事の司会進行で行われ、懇親会会場でも活発な意見交換が行われ有意義な時間を過ごす事が出来ました。
(文責・写真撮影:仙台検査 株式会社 伊藤 剛)
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